こころ躍る、上質。

同潤会江戸川アパートメントから、アトラス江戸川アパートメントへ
※この物件はすべて分譲済です。

「都心好立地」にマンションを数多く供給する旭化成ホームズ。その都市型マンション「ATLAS」は「こころ躍る、上質。」というブランドステートメントを掲げている。都市生活の豊かさを追求するその取り組みを象徴するのが、建て替えだからこそ実現する、土地の権利者や街の記憶を輝かせるデザインだ。そこに住む人々やその街の誇りへと昇華する数々のデザインが生まれた背景やその経緯について、同社開発営業本部の和田悠氏に話を聞いた。

「こころ躍る、上質。」を
実現するために

和田 悠氏
旭化成ホームズ
開発営業本部 技術部 商品企画課
兼 企画推進二課 課長
和田 悠

旭化成ホームズのマンションづくりが他のデベロッパーのそれと根本的に異なるのは、そのほとんどが権利者がいるマンション建替え・等価交換・再開発事業(以下、都市再生事業)による開発である点だ。つまり、長年住み続けている権利者の人々の存在があり、その土地の価値を一番理解している彼らの想いを受け継ぐ住まいづくりがデザインとして細部にまで生かされているのが大きな特長である。

「当社本体は元々、戸建て住宅の請負事業を主体としているので、権利者の皆様の話を聞くことが当たり前の文化として定着している点が大きな強みです。建て替えを検討する際、老朽化した建物の不便さや耐震性の不安といった建て替えたい理由があり、それに反対する意見には失いたくない歴史や文化といった連綿と続く価値を守りたいという願いがあります。多くの声をしっかり聞き取りながら土地の価値を理解し、それを未来に向けてさらに輝かせる提案ができてこそ、都市再生事業は実現に向けて動き始めることができます」

土地の取得段階から和田氏たち設計部門が関わり、仕入れ担当者と設計担当者が二人三脚で権利者たちとの協議を進めていくのも同社ならではの特徴だ。「立場の違う複数の視点でその建物や土地を見ることでより多くの情報が得られ、そこにある価値の理解度も深まります」というように、土地や建物などに対する人々の愛着や各住まいから見える景観にいたるまで、設計担当が技術者目線で見極めることで、受け継ぎながら輝かせるべき価値が理解できる。

「都市再生の案件には、それぞれの土地で異なった価値があります。すべての事業で『こころ躍る、上質。』を実現するために、6つの項目を確認しながら建物をデザインすることを心がけています。1つ目は建物の経済的価値やデザインが市場や時代に適しているか。2つ目は細部にまでこだわり磨かれた建物になっているか。3つ目は地域や環境に貢献する建物になっているか。4つ目は住まわれる人々が誰かに語りたくなるようなデザインコンセプトを備えているか。5つ目は暮らしやすい住戸計画になっているか。6つ目は人々に驚きを与えるような魅力的な場所が敷地内に提供できているか。この6つの企画方針で、お客様や地域の皆様と対話を重ね、社内外の様々な部署から意見を出し合って計画を練り上げていきます」

アトラス江戸川アパートメントの屋上庭園
建て替え前の中庭での住人たちの交流を新たなデザインでいまに蘇らせた屋上庭園。5つのテーマで異なる庭があり、様々な世代が交流しやすい環境を提供する(アトラス江戸川アパートメント)。

その土地を一番理解している
権利者の
想いを
受け継ぐ住まいづくり

1934年に建築された同潤会江戸川アパートメント(東京都新宿区)の建て替えでは、100年近く前の建築素材を様々な場所に取り入れることで同潤会の歴史を未来へとつないだ。同潤会が最後に世に送り出した同アパートメントは、フランク・ロイド・ライト風とアール・デコ調といったモダニズムの建築様式が融合した「東洋一のアパート」と称された建物。同社は「アトラス江戸川アパートメント(分譲済)」へと建て替える際、住戸に使われていた素材や意匠などを共用スペースに生かし、同潤会や住民たちの歴史や当時の空気感をいまに蘇らせた。

「当社が権利者の皆様と対話を重視している理由は、未来の暮らしに夢を描いていただきたいという願いがあるからです。具体的なイメージを持っていただくために分かりやすい言語でこちらの考えをお伝えすると、皆様からも様々なご意見が出てきます。その対話がどんどん深まっていくことで、その土地の本当の価値を理解することができ、それをさらに高めるデザインコンセプトや、いまの暮らし方に適した間取り、共有空間などが見えてきます。例えば、江戸川アパートメントの場合、住民や地域の皆様、そして社会からも同潤会の建物への強い思い入れがありました。いま見ても魅力的な意匠や素材を現代建築で蘇らせるという発想は、権利者の皆様や街の人々との対話を繰り返すというDNAを持つ当社ならではだと思います」

アトラス江戸川アパートメントの六角形のグリル
かつては廊下に面した窓に配してあった六角形のグリルは、いまは幾何学的なアール・デコ調の各住宅棟のサインとして新たな命が宿った(アトラス江戸川アパートメント)。
アトラス江戸川アパートメントの階段や手すり
江戸川アパートメント時代の階段や手すりを保存再生し、「アトリエ」内に再現した(アトラス江戸川アパートメント)。
アトラス江戸川アパートメントのステンドガラスの丸窓
当時は住戸の明かり窓として使用されていたステンドガラスの丸窓は共用施設「アトリエ」の内部に柔らかな光を落とす役割を担う(アトラス江戸川アパートメント)。

権利者との対話を重ね
一番ふさわしい
デザインを追求

和田氏が担当した案件で最も強く印象に残ったのは、東京都千代田区にある通称「番町文人通り」での都市再生事業「One Avenue一番町文人通り(分譲済)」でのラウンジデザインだ。この場所は江戸時代には武家屋敷があり、島崎藤村をはじめ泉鏡花や有島武郎、与謝野晶子など、明治から昭和にかけて多くの作家や文学者がこの界隈を選んで住んだことで知られ、東京の中心でありながらいまでも静謐(せいひつ)な環境が保たれている。和田氏と仕入れ担当者は人々の暮らしや街の魅力を理解するため、曜日や時間を変えて何度も足を運んだ。権利者もこのエリアの文化や価値観を共有してもらおうと、和田氏たちを行きつけのレストランや文化施設などあらゆる上質な空間へと案内した。

「アイデアをいろいろご提案しましたがどれもご納得いただけず、この場所の本当の価値を理解するには、こちらの感性を磨き抜くしかないと思いました。権利者様といろいろな場所にご一緒させていただき、ある時ふと思い付いたのは、2層吹き抜けのラウンジに京都の琴滝をイメージした水景とソファがあるだけのシンプルな空間です。綿密に計算して岩の上に水を流したのですが、その流れる方向や跳ねる音がいつも異なっていて、我々のコントロールできない小さな自然がそこに生まれました。とても高い評価をいただき、いまではその空間が住民の皆さんの心を躍らせたり、時には癒やしたりしています」

同社の設計・デザインが有名なデザイナーや建築家の設計と根本的に異なる点は、建て替えの実現に向けて権利者の想いや願いを最大限に汲み取り、新たに入居する人々にとっても魅力ある設計・デザインに仕上げ、それを言語化できることだ。

「やはり権利者の皆様の存在がある限り妥協は許されません。ご納得いただけるまで説明とやり直しを繰り返しますので、細部にまでこだわり抜いた建物ができ上がります。『One Avenue一番町文人通り』に配したラウンジの滝は、新たに購入いただいたご入居者様にも好評で、この土地の価値をしっかり表現できたのだと感じています」

One Avenue一番町文人通りの2層吹き抜けのラウンジ
One Avenue一番町文人通りの2層吹き抜けのラウンジ
2層吹き抜けのラウンジに、京都 ・琴滝を模範にした滝の音が響く空間を演出。日本の豊かな四季が移ろう中庭を望み、時代や国境を越えても変わらない普遍的な美しさを追求した(One Avenue一番町文人通り)。

常に新たな価値を創造し、
いつまでも愛される
空間を提供

「権利者様と一緒に創り上げるデザインや設計コンセプトは、土地の魅力を再編して磨き上げるものですが、当社だからこそできる役割はやはり期待や想像を超えた新たな価値をリ・デザインすることです。その価値は権利者様や新たに入居された皆様が暮らしの中で、ワクワクと心を躍らせたり、毎日を楽しんだりしながら創り上げるもので、我々はデザインや設計でそのきっかけを提供します。例えば、その土地から何かを感じ取ったイメージを象徴的に表現することもあります」

東京都中央区築地での都市再生事業「アトラス築地(分譲済)」では、建設地から出土した江戸時代の古木をリメイクした舟形ベンチをエントランスに配置し、その背景に築地の海と川をモチーフにした壁をデザインし、船着き場だった往時の風景を演出。エントランスの風除室にはガラスと古木を組み合わせたガラスアートを取り付け、各階のエレベーターホールには古木を突板に加工したデザインパネルを装着し、水の風景と木の記憶を表現した。

5カ月にわたる埋蔵文化財調査の結果、数多くの土蔵の基礎や陶磁器が出土した(アトラス築地)
5カ月にわたる埋蔵文化財調査の結果、数多くの土蔵の基礎や陶磁器が出土した。中継地・保管地として江戸の水運の重要な拠点だったことがうかがえる(アトラス築地)。
江戸の水運を担った運河のあった地から出土した古木から舟状のベンチ(アトラス築地)
江戸の水運を担った運河のあった地から出土した古木から舟状のベンチを削り出した。海から川へと人と物資を運んだ往時の記憶を次世代に伝える(アトラス築地)。

「埋蔵文化財調査を進めていくと400年ほど前の木材が出土しました。それがこの土地の記憶を象徴するものだと気付き、それまで検討していたデザインを急遽変更しました。元々『土地の記憶を継承する』というコンセプトで検討していたのですが、地元の方からは、その場所には築地川の船着き場があり、演劇場などもたくさんあって、初日を迎える役者さんたちが船に乗ってその場所から劇場へ入っていったという話も聞くことができ、そうした川や海の歴史を建物で表現することにしました。江戸時代に栄えた歴史を持つ場所だから実現できたデザインですね」

和田氏には忘れられない言葉がある。それは竣工を終えた権利者から掛けられた「あなたたちは家を一緒につくってくれるデベロッパーだ」という一言だ。マンションは戸建て住宅とは異なり、共同住宅としての様々な制約がある。それを踏まえて「家を一緒につくった」という実感を持ってもらえたことがうれしかったと和田氏は言う。

「当社は『こころ躍る、上質。』を実現することを目指していますが、やはりその中心には人々の暮らしがあります。その暮らしを豊かにする家を、日々を楽しく感じる生活を、アトラスに住まわれる多くの方々に、これからもご提供していきたいと考えています」

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