日暮れ前、息子を誘って外へ出る。ひっそりと静まる坂道を抜けて向かったのは、荘厳な湯島天神。
受験シーズンになると遠方からも多くの人が訪れるこの場所は、自宅から歩いてすぐの“いつもの道”にある。いつしか、学校のテストや塾の模試の前に一緒に御祈願に来るのが恒例になっていた。
息子は中学の期末テストを控え、いつも夜遅くまで頑張っているようだ。
「神様頼みじゃなくて、根気強くやるのが大事だぞ」
「わかってるよ」
—こんな会話を交わすのはもう何度目だろう、と思いながら二人で静かに手を合わせる瞬間が、親子のかけがえのない時間になっていく。

