DESIGN CONCEPT
文京邸宅の高みへ。
江戸の上屋敷をルーツとする土地の歴史。
その伝統を重んじること。その品格を受け継ぐこと。
そして知性を纏うこと。
文京安藤坂。この場所にしか成し得ない邸宅に思いを馳せ、
静謐な存在感を放つ建築を目指した。


安藤坂の象徴として、
伝統的で現代的な佇まいに。
安藤坂を上ると見えてくる佇まいは、
コーナーサッシを用いて
シンボリックに描いた。
時の経過とともに
陰影が移ろい表情を変えるファサードは、
グリッドパターンで構成。
クラシカルな趣とモダンな印象が共存し、
基壇部には重厚感を、
上層階には邸宅感を演出している。


お迎えするのは、
石張り仕上げの重厚な意匠。
門構えのモチーフは石造りの
歴史的建造物。
風格が宿る意匠に
ガラスや金属による都会的な表情を加え、
内部空間へと導く庇を設けている。
陽が沈む頃に浮かび上がるのは、
吹抜けのラウンジ空間。
灯る明かりは安藤坂にこぼれ、
住む人を温かく迎え入れる装いとなる。

ふと都心の緊張が解かれる、
私邸への序章。
エントランスの扉が開くと、
待っているのは鎮座する天然石。
切り出された本小松石をオブジェとして、
大名庭園の景石のようにディスプレイした。
天井高は約4m。木の温もりと石の重厚感が調和する大空間は、
気持ちが自然と解かれるように仕立てている。

LANDSCAPE CONCEPT
閑雅の庭。
文京区には江戸の庭園文化を守り続けてきた歴史がある。
かつて上屋敷だったこの場所も、
歳月に育まれた屋敷林を湛えていた。
その記憶を未来へとつなぐランドスケープに掲げた
コンセプトは「閑雅の庭」。
こころ落ち着く風流な庭を描いている。


すべては、美しく心豊かな
日常を叶えるために。
東西に広がるゆったりとした敷地を
どう活かすのか。
検証を繰り返し、
南向きプランが中心となる配棟計画を
採用するとともに、
贅沢な庭園空間を確保した。
樹々は隣地の緑とつながり、
杜の小路ような風景を創出する。
一方、住棟内には
共用空間の充実を図っている。


木漏れ日や陽だまりの
心地よさに満たされる場所。
モミジ、シラカシ、ヤマボウシ、クロマツ。
フォレストガーデンは
四季を映す木立に囲まれた散策の庭。
渡る風や樹々の生命力を感じながら
心をオフにする場所となる。
デザインモチーフは神田上水の流れや枯山水。
流線型の散策路には石畳を敷き詰めている。

贅沢な時を紡ぐ、
空のふもとのリビング空間。
風が心地よい日は、ガーデンテラスで満ち足りたひと時を。
ここは、杜の静けさに癒やされるオープンエア空間。
フォレストガーデンに巡る春夏秋冬を愉しみ、
そよぐ緑の音色に、時が経つのを忘れて過ごすことができる。

LOUNGE CONCEPT
余白を愉しむ。
伝統的な素材感や空間構成。現代的なディテール。
共用空間には、
品格が薫るオーセンティックなデザインを求めた。
フロアレベルの異なる3つのラウンジは、
用途を限定せず、
ゆとりの時間を愉しむ空間として仕立てている。


空間美にこだわりを貫いた
吹抜けの迎賓ラウンジ。
エントランスゾーンにしつらえた
グランドラウンジは、
2層吹抜けの開放感が印象的なロビー空間。
高さも広がりもあるコーナーサッシから
清々しく差し込む光と、
窓辺に連なる緑の息吹は、
洗練されたインテリアに
豊かな表情を演出する。

ワーク&スタディにも対応した
杜の畔のラウンジ。
ガーデンテラスとの連続性を求めたガーデンラウンジは、
室内で過ごしながら自然を感じられる空間。
壁は石張り仕上げとし、インテリアは木調素材で仕立て、
三面の窓から光を導いている。


一つひとつの素材が織り成し、
生まれる建築美。
国会議事堂、明治神宮、東京駅。
コーチエントランスの壁には、
そうそうたる建築に使われている稲田石をあしらった。
さらに外観や共用空間は、
世界の産地から選んだ御影石を用いてデザイン。
表情があり、風合いもある素材が、建築美を高めている。

